マンション経営のデザイン
ネットやファックスなどを通して連絡は来るだろうが、情報の重要性がわからずOFCの判断が鈍ることにもなりかねない。
OFCは本部から離れて仕事をするので、営業方針や最新の商品などの情報に飢えている。
ダイレクト・コミュニケーションのないネットやファックスなどの情報だけだと、OFCは加盟店主に自信をもって経営指導をできなくなる。
実務は加盟店主がやっているから、OFCが観念的な話をしても、心に響くような経営指導など出来るはずがない。
FC会議に参加することで、独りよがりな経営指導がなくなり、最新の情報を仕入れて加盟店主らに有用なアドバイスができる。
FC会議にかかる交通費や出張費用は年間約30億円にもなっている。
しかし、30億円のコストをかけても余りある利益をもたらしているからこそ、創業以来、この会議は中断することなく続いている。
Sの講話は速記録にまとめられ、FC会議に出席できない管理部門の本部社員などにも配布、全社員の目に触れることになる。
このダイレクト・コミュニケーションは日本のS特有のシステムである。
米国式の企業組織は多階層であってもそれぞれに明確な権限委譲が確立されているのに対し、日本では権限と責任を個人レベルで厳格に区別するような社会風土になっていない。
もし、S社が実践した権限委譲型を日本のSが踏襲していたら、逆に責任転嫁になりかねないと考えた。
そこで組織を極力フラットにして、トップの考えがなるべく現場まで直接に行き渡るようにした。
米国的な経営手法では考えも付かない取り組みとなった。
また、逆に現場の状況をトップが的確に把握できるというメリットもある。
多階層の組織ならば現場の問題点がトップに正確に伝わらないという恐れがある。
不正確な情報がトップにあがり、それを参考にしてトップが新たな方針を打ち出せば、誤った指示がOFCに伝わり店頭に混乱が生じることになる。
Y堂、Dジャパンでも、ダイレクト・コミュニケーションによるトップの経営方針、経営戦略を現場に伝える会議が毎週開かれる。
Sの店舗拡大に伴ってOFCの数は年々増えてきた。
Y堂グループが東京タワーそばのビルから2004年に現在のビルに引っ越したのは、OFCが一堂に会する講堂が手狭になったことも理由の一つである。
大きな講堂を確保できることが移転の条件だった。
SのFC会議は流通業界では有名である。
しかしこの、毎週、繰り返し行うFC会議を実践する企業はSグループ以外にない。
莫大なコストをかけるものの結果が出るまでに時間がかかり、躊躇してしまうからだ。
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